第10章 秀吉さんの1番
「信長様は光秀様と出かけられましたよ」
「光秀と?」
うわっ……
秀吉さん、もろ機嫌の悪い顔になってるよ。
「光秀と何処に行ったんだ?」
「さあ?……極秘でのお出かけですので……」
「極秘……だと?」
難しい顔をして腕組みをしている秀吉さん。
信長様の事を心配してるんだろうけど、光秀さんが一緒ならそんなに心配する事なんてないんじゃないのかな?
「もちろん草は放ったんだろうな?」
「はい、当然ですよ」
「くさ……?」
秀吉さんと三成くんの会話の意味がわかんない。
キョトンとする私に政宗が耳元でそっと「忍びの事だ」って教えてくれた。
要は陰ながら信長様を守る人……SPみたいなもんなんだろうな。
「すまなかったな」
「ん?なにがですか?」
「信長様との夕餉を楽しみにしてただろ?」
「いや……別に……そんな事は」
(だって食事の作法とか面倒くさそうだし……それに信長様ってちょっと苦手な気も……)
「そんな事は……?だと?!」
「ひっ……!」
さっきまで優しく微笑んでくれていたのに、険しい顔をして睨んでるんだけど。
「お前な、よく聞けよ。信長様と夕餉を一緒にするという事は武士にとって名誉なんだぞ」
「いや……私は武士じゃないので……」
「いま何か言ったか?」
「言ってません!!言ってませんよ」
(小声で愚痴ったのによく聞こえたよね)
「大体お前はちゃんと理解していないだろ?あの方の素晴らしさを___」
____それから一晩中、私は信長様が如何に素晴らしい方なのか……秀吉さんから教わる事になってしまった。
続く▷▷▷