第9章 美しい人との出会い
なんだか軽くショックを受けてしまった私。
別に秀吉さんが好きとかそんなんじゃないんだけど。
秀吉さんの頭の中には信長様だけしかないのがわかって……
うん、つまりは女としての小さなプライドが傷ついたような気がしただけ。
「どうした?元気がないな」
「え……そんな事は……」
「きゃあ~!!!」
「秀吉様よ~!!」
「お久しぶりです!!」
「会いたかったんですよ!」
「一緒にお茶しませんか?!」
「ずるい!!私もお茶したいっ」
え……?!
ちょっ……
あの~……
店を出て表にでた瞬間、何人もの女の人が秀吉さんを取り囲み私は端っこの方に追いやられてしまった。
秀吉さんを中心に人だかりが出来て、近くにいくのも困難な状況が出来上がってしまっている。
私……どうしたらいいの?
「あのっ!秀吉さーんっ!」
秀吉さんに声をかけても簡単にかき消されてしまう。
早く秀吉さんの傍に行かないと見失っちゃうよ
(ここではぐれたらお城に帰れないから!)
申し訳ないと思いながらも人混みをかき分けて秀吉さんに近付こうとするけど
「ちょっと!なによ!割り込んでこないでよ!!」
「邪魔だから!!」
「あっちに行ってよ!」
またも端っこに追いやられてしまい、挙げ句の果てには尻もちをついてしまった。
お尻は痛いし、秀吉さんの姿はどんどん遠くなっていって………
「もう……ダメだ」
完全に秀吉さんを見失ってしまった___