第1章 春はあけぼの
翔くんの少しだけ真面目な声に、眠かったはずの頭の中が急速に活動をはじめる。
“どうなるかわかる?”
その答えは嫌な予感しかない。
「じゅー、きゅー、はーち、」
既にカウントダウンが開始され、慌てて起きようともがくけれど、翔くんの重みでうまく起き上がれない。
「なーな、ろーく、」
「しょ、翔くんっ……お、おも」
「ごー、よーん、さーん、」
「重いですぅ……っ」
「にー」
渾身の力を振り絞りジタバタしてみた。
けれど、翔くんは私の上に乗っかったままだ。
「いーち」
「…………!!」