第3章 『あらやだ、無意識に感謝』
主要メンバーが帰って来てから何度目かの騒がしい妖精の尻尾。
その渦中のシオンは主要メンバーとロメオ達に囲まれていた。
「いやあ、感謝しきれんわい!
じゃが、ありがとう」
『いーよ、別に。
なんやかんやで2回も生き倒れてたのを助けてもらったんだし』
「そう言えば、今日は誰に拾ってもらったの?
前はギルドに入った瞬間に倒れてたけど」
『んー、えーと確か・・・。
あ。あの人』
ガヤガヤと騒ぐギルドの酒場。
ロメオにそう聞かれて、シオンは異様な(と言うか異常な)音を立てて食事をしている人物に目をやった。
「ガジル??」
「ア?」
『黒髪でしょ、んで髪型凄い跳ねてる。
うん、間違いなくあの人だよ。さっきは拾ってくれてありがとう』
「・・・けっ。
ギルドに入ろうとしたらぶっ倒れやがって、邪魔だったから蹴り飛ばそうとしたらテメエが寝言で妖精の尻尾っつったんだろうが」
『あらやだ、無意識に感謝』
「いや、そもそもなんでそんな頻繁に生き倒れるんだ・・・。
金持ってるんなら近くのレストランとかに入ればいいだろ」
『んー・・・なんて言うか、早い話がお腹空いてるだけならまだ良かったんだけど・・・。魔法も使ったまんまだったし』
「「??」」
煮え切らない回答に首を傾げる一同。
そんな一同にはお構い無しに、シオンは何を思ったのかナツの方をじっと見た。