第5章 『(コイツ・・・大型犬か何かか・・・?)』
「シオンー、これくれるの?」
『うん、あげる。
2匹とも私の友達だし、たまには食べ物じゃない物をプレゼントしようかと思ってねー』
「わぁ・・・!
ありがとうございます!
僕の宝物にしますねっ」
「フローもそーするっ!」
さっそく受け取ったリストバンドをレクターとフロッシュが右手に装着する。
よっぽど気に入ったのか、きゃいきゃいとはしゃいでいる。
微笑ましいな、とシオンがその様子を眺めていると不意にスティングが首元に顔を埋めてきた。
それに気づいたシオンはすかさずその金髪を右手で制した。
『なーにをしようとしてるのかな、きみは』
「・・・どうせ俺にはねェんだろ。
だったらせめてシルシつける」
『いや、あるけど』
「・・・えっ」
『だーかーら、レクターとフロッシュだけじゃなくてスティングとローグにもプレゼントあるっつってんの』
「マジ!?」
『(コイツ・・・大型犬か何かか・・・?)』
何がどうなってシオンにシルシをつける事に繋がるのやら。
ぐぐぐ・・・とスティングの頭を押しながらシオンはスティング達にもちゃんとプレゼントを用意してある事を伝えた。
するとその言葉を聞いたスティングはガバッと頭を上げて表情を輝かせた。さすが白竜。
その姿にやや呆れながらも、シオンは今しがたリストバンドを取り出した方とは逆の服の裾から2本のミサンガを取り出した。
それをそれぞれスティングとローグへ手渡す。
「これは・・・?」
『あれ、知らない?
ミサンガって言うんだ。
コレを手首に着けてると、その人が本当に叶えたい願い事を叶えてくれるんだよ。叶ったら切れちゃうけどね』
「そんじゃ、俺はシオンと両想いだな」
『あははは、それは無いわー』
「本当に叶えたい願い事・・・か。
大事にしたいところだが、叶ったら叶ったで切れてしまうのか・・・・・・勿体無い気がするぞ」
『ま、あくまでそう言う逸話があるってだけだからねー。
無いとは思うけど、もし切れたら私が直すから言ってね』
シオンからミサンガを受け取り、それぞれが手首に着けた。
ちなみにスティングのミサンガは白と黄色、ローグのミサンガは黒と灰色だ。