第3章 燭台切の説教
「あ、佳乃みつけましたよ」
「お風呂一緒に入りましょう!」
「佳乃さん、僕も…いっしょに入りたいです」
刀剣男士のなかで唯一女である佳乃は女の子らしい性格ではなかったものの、女性特有の包容力のおかげか短刀たちからは思いの外人気であった。
鍛錬が趣味、戦うことが生き甲斐、とうてい女の子が持つ思考ではない彼女はある意味刀としての思考が色濃く残っていると言える。お風呂を一緒に入ろうと誘ってくる短刀たちは見た目は子供でも男であることには変わりないのに、佳乃はそれを気にした様子は少しもなかった。
二つ返事で短刀たちのもとに行った佳乃を燭台切は冷や汗をかきながら急いで連れ戻す。
「あっなにをするんです!?」
「佳乃さんと今からお風呂入るところだったのに」
「お風呂なら岩融さんと一緒に入ってきなさい!佳乃ちゃんは君たちと違って女の子なんだよ?」
「私は別に気にしませんが」
「僕らが気にするの。佳乃ちゃんお願いだからもっと女の子としての自覚をもって」
あ、これは説教に入るな。
ぐずる短刀たちをタイミングよく通り掛かった岩融に預けると、燭台切は佳乃の腕を掴みその場に正座させた。本丸のお母さんとなりつつある燭台切の説教は一度始まったら長い。