第13章 砂の若い衆、木の葉の若い衆、はぐれ若い衆、時々長老
「いや、俺はお前の顔が気になって仕様がない。・・・何で化粧してるんだ?デーモン小暮のファンなのか?」
「・・・何だ?何かスゲエ恩を仇で返されちゃった感半端ねんだけど?イラッとすんじゃん?」
「うるさい」
静かにポツンと低い声。
「喧しいな、お前達。皆殺しにするぞ?」
角都が無表情に若い衆を睥睨し、クキッと首を鳴らす。
「若いのが雁首揃えてぎゃあぎゃあと耳に障る。年寄りを労れないヤツは砂の隠居に瞬殺されるからな。ここで解散しろ」
騒ぎの中、考え事をするような様子で黙り込んでいたイタチが目を上げた。
「帰るのか」
「帰らん。牡蠣殻を捕まえる。報酬が発生しない状況のまま誰が帰るか」
スイと目を細めて角都はイタチを見やる。
「貴様もグズグズせずに働け。さっきの話だと大首を逃がしたようだがどういうつもりだ?なお悪いことに鬼鮫は俺の仕事を邪魔する気らしい。何をしに出張って来たのだ、お前達は」
ここで藻裾が口を挟んだ。
「牡蠣殻さんがアニサンといるってンならアタシに文句はないですよ。アンタがつべこべ言うこっちゃない」
「俺はお前が暁に持ち込んだ依頼と金にはこの上なく忠実だ。しかしだからと言ってお前の言いなりになる筋合いではない。勘違いするな」
角都の言葉に藻裾は眉を跳ね上げた。傍らでデイダラが面白そうに二人を見比べている。
「フン?依頼はアニサンが果たしましたヨ。アンタに意固地になられても困っちまうな、角都さん?」
「鬼鮫が牡蠣殻をどうするつもりか、お前にはわかるのか」
角都が不意に口角を上げて聞いた。
「ハハ、汐田。オメエ、鬼鮫と牡蠣殻
ン事、よくわかってねえんだな?うん?」
デイダラもにやにやと人の悪い笑いを顔に浮かべている。
「鬼鮫は厄介なサディストだぞ?一緒にいるからって牡蠣殻が無事とは限んねえの。ハハハ」
「アタシは牡蠣殻さんがヤじゃねえなら、あの人がどんなメに会っても構わねェよ?何だ?牡蠣殻さんはアニサンがヤなのかい?アニサンは牡蠣殻さんが嫌いか?違うだろ?」
きょとんとした藻裾に、イタチがフと口許を弛めた。
「素直だな」
「んん?誉めてくれちゃってんの?あは、そんな綺麗な顔でそんなん言われると悪い気しないけど後でな!ジャンジャン、行こうゼィ!我愛羅さんとこ連れてけ!」