第13章 砂の若い衆、木の葉の若い衆、はぐれ若い衆、時々長老
にやりと笑って大振りの巻物を紐解き、己が腕に巻き付けたテンテンは、フと肩を抑えられて動きを止めた。
「宵のうちは衆目が敏いものです。私が言えた義理ではありませんが、まあお止めなさい」
草臥れた様子の牡蠣殻が申し訳なさそうにテンテンの肩から手を離した。
「牡蠣殻さん・・・」
声を上げた藻裾を唇に指を当てて制し、テンテンに目を戻す。
「お互いに忙しい事になりそうですね。と、言ったところで私は今貴女達と行く訳には行きませんから、ご一考頂きたい」
テンテンは腕に纏わせた巻き紙をギリと引いて、油断なく牡蠣殻を見返した。
牡蠣殻は後ろに佇む鬼鮫をチラと見返って困った様に笑い、カンクロウに顔を向け、三班の三人を見回した。
「私はこの人と話を着けたら砂のご隠居、先生と杏可也さんのところへ戻ります。その後木の葉へ向かう心積もりでおりますが、どうです、それを砂でお待ち頂けますか」
鬼鮫はイタチと目を見交わし、無言で頷いて牡蠣殻の背を押す。押されながら牡蠣殻はデイダラ、角都、そして藻裾を見た。
「私は砂の隠居部屋に戻ります。角都さん、デイダラさん、藻裾さんを頼みましたよ」
「ちょ、待て。これアンタんだろ?」
カンクロウが懐からチャリと音をたてて、鈍色の鎖が絡んだ鈍色の指輪を持ち出した。
「あ・・・・」
牡蠣殻の動きが止まった。
鬼鮫の視線がカンクロウの手元に注がれる。
「・・・ほう・・・これはまた見覚えのある・・・」
「・・・あらら・・・・」
「・・・牡蠣殻さん?」
牡蠣殻は目にも止まらぬ速さでカンクロウの手から指輪を奪い取ると、驚きのスタートダッシュを切った。
「の、後程お会いしましょう!ここはこれにて、失礼!」
すかさず走り出した鬼鮫に追われる牡蠣殻の声が飛んできた。
「・・・はは、あれか。似ても似つかねえのに間違っちゃって、バカじゃん」
空になった手を見やって呟くと、カンクロウはその場の顔触れを見渡した。
「・・・・何だかな。収まりつけてえヤツはついて来いじゃん。ちっとお互い話を擦り合わせた方がいいみてえだしよ」
「ついて来いって、我愛羅さんとこ?」
藻裾が両手で口を押さえて問う。
デイダラが呆れ顔をした。
「あー、行け行け。行ってジャーキー喰って来い。しょーもねーな、オメエはよ、うん?」