第13章 砂の若い衆、木の葉の若い衆、はぐれ若い衆、時々長老
「どうもなってねえよ。鮫のアニサンと牡蠣殻さんは文通から始めましたの初々しい仲だぞ。磯も暁も関係ねえ。散開も音との絡みもこっちの事情だ。アンタらの知ったこっちゃねえだろ?ビンゴブッカーなんて・・・・ビンゴブッカー?」
「荒浜の事だな。お前も会ったのか?砂の?」
イタチに問われてカンクロウは厭な顔をした。
「さあな。俺ァ知らねえじゃん」
「荒浜は先刻までここにいて牡蠣殻と話していた。深水や彼の連れ合いは無事なのか。殊に杏可也とかいったあの女性は、腹に子がいよう。簡単に姿を現す輩相手に深水はどうするつもりだ」
「・・・・何でそう磯に絡んでンだ?」
「以前依頼を受けてからの付き合いだ。何という事もない筈が、鬼鮫と牡蠣殻の縁の所以で暁も磯との絡みが出来た。他意のない絡みだ。暁と磯を括るようなものは何もない」
イタチが藻裾に目をやって頷く。見返す藻裾は渋い顔をした。
「荒浜って言ったな?荒浜海士仁?ビンゴブッカー?海士仁が?」
「知り合い・・・だろうな。磯はちっちェ里だもんな、うん」
デイダラの台詞に藻裾はますます渋い顔になった。
「・・・上位級のビンゴブッカーって、何やらかしたんだ、あのバカ・・」
「俺達は磯の依頼で荒浜を生け捕りに来た。大首に懸かった賞金を上回る金子の依頼だ。磯は金持ちだな」
「さぁ、里の懐具合は知らないが波平様は貧乏スよ。確かにうちの里の薬は安かないけど、そんなに金があったかねえ?」
首を傾げる藻裾にイタチはスイと目を細めて何気無く聞いた。
「財源は誰が管理している?幹部の者か」
「そりゃ幹部ったら幹部でしょうねえ・・・大体里の財源を管理するような立場のモンが無位の訳ねえでしょうよ」
藻裾は抜け目ない様子ではぐらかした。イタチは苦笑して腕を組んだ。
「そう警戒するな。不都合でもあるのか?」
「煽っちゃいけねえや、イタチさん。言わなくていい事ァ言わねえに限るってだけスよ」
「磯の財務は杏可也叔母が預かってたんだろ?」
不意にポロッとカンクロウが漏らした。
藻裾は眉を吊り上げてカンクロウを睨み付けた。
カンクロウは苦笑いして片手で拝むような仕種をし、話を続ける。
「先代の取り巻きが組織してる長老連ってのが財源を統轄してて、そこに与する形で叔母さんが管理してたって筈だ。砂を出るときそう聞いた」