第13章 砂の若い衆、木の葉の若い衆、はぐれ若い衆、時々長老
イタチの言葉に藻裾は眉をひそめた。
「どういう事?てか、アタシは牡蠣殻さんをしばらく隠しといて欲しいんですよ。それにゃアニサンに頼むのが一番かと思ってさ。面倒事が落ち着くまで、あの人ァいねえ方がいい」
「面倒事とは何だ?」
「そっちのお三人に聞いたらいいスよ。アンタらァ牡蠣殻さんを木の葉へ連れに来たんでしょ?」
藻裾はネジ達の方に顎をしゃくった。
「残念だが俺達も事情に明るくはない。任務を受けてそれを遂行するのが務めで詮索するのが本分ではないからな」
ネジは藻裾の視線を流し、イタチをじっと見た。
「こんなところで思わぬヤツに会ったものだ。ここで何をしている?牡蠣殻磯辺とはどういう知り合いだ?」
「詮索は本分ではないのだろう」
読めない表情でネジを見返し、イタチはリーとテンテンへ顔を向けた。
「誰が牡蠣殻に会いたがっている?火影か?それともダンゾウか?」
「・・・どういう事です?何故ダンゾウ様の名前が出て来るんですか」
聞き咎めたリーが眉をひそめる。傍らのテンテンは用心深い顔でイタチを伺った。
「アンタたちも牡蠣殻さんを狙ってる訳?」
「狙うまでもない。彼女は暁とは知己だ」
先を促すように目配せをくれたイタチに、藻裾とデイダラは顔を見合せ、角都を見た。
「あれは暁の財布・・・・」
「わかった。じいさんは黙ってろ。牡蠣殻はあそこにいる鬼鮫の、・・・・?何だ?うん?」
「やっぱオメエは暁辞めて書道教室に転職しろ。鮫のアニサンと牡蠣殻さんはツレ」
「オメエといい貝殻といい、何で暁なんかと連んでるんだ?他里とさえ関わりたがらない磯の者が、よりによって暁と関わりを持つなんてフに落ちねえじゃん」
黙って話の行方を追っていたカンクロウが口を挟んだ。
「何だよ。磯にだって色々あんだよ。そもそも磯の事なんかロクに知らねんだろ?指し出口挟むな、ジャンジャンはよ」
藻裾がムッとしてカンクロウを睨む。カンクロウは眉根を寄せてそれを見返した。
「怒んなよ。ロクに知らねえから聞いてんじゃん。言っとくけどな、磯はここんとこちょっと胡散臭ェぞ。地味で無害な小里ってだけじゃなくなって来てンぞ?散開から始まってぽっと出の上位級のビンゴブッカー、音まで絡んで話題に事欠かねえ。まして元幹部が暁と知己?どうなってンだって聞きたくもなるじゃん」