第11章 藻裾、降臨 ーin厠ー
「バッカ、オメエ、追い出されちまったじゃねえかよ、どうしてくれんだ?うん?」
「出るモン引っ込んでありがとサンじゃなかったのかヨ?用があンなら遠慮なく戻りゃいいじゃねぇですか?あん?用のある者はいていんだって言ってたヨ、ポツポツさんは」
「ポツポツさん言うな。ありゃうちのリーダーだぞ、うん」
厠の外で互いに腕を組んでのけ反り合いながら、チビ二人は話を続ける。
「リーダーってこたァここの頭って事だよな」
「まあ一応な」
「じゃ話が早ェや。待たせて貰いますヨ」
「・・・・ここでかよ?止めてやれよ、うん?」
「あんまグズグズしてたくないンだよな。おー、デケェのかィ、リーダァー?」
「・・・・・オメエ何しに来たんだ?うちとこのリーダーに嫌がらせしに来たのか?」
「まさか。アタシは暁に仕事の依頼に来たんデスよ。鮫のアニサンはいるか?」
藻裾の言葉にデイダラは眉を上げた。
「鬼鮫の事か。あいつなら任務でイタチと風の国だ。つまり、留守ってこったな。何、鬼鮫に依頼かよ?言っとくけどな、うちはマジ安かねえぞ?払えんのか?うん?」
藻裾はにやぁっと笑って懐手になる。
「潜師の女ァなめんな?今訳あって懐がフッカフカにあったけェんだ。家庭教は儲かんだな。クックックッ」
「おいおいマジか?依頼て何だ?何企んでんだ、うん?」
顔をしかめたデイダラに藻裾はヘッと笑った。
「ボクくんは引っ込んでな。・・・しかしアニサン風の国かよ・・・間がいいのか悪いのか・・・よくわかんねェな。で、何の任務?アニサンの任務って?」
「知らねェよ。急な依頼だったからな、うん」
磯の浮輪の名は出さず、デイダラは藻裾の様子を見た。
藻裾は顎先を撫でながら考え込んでいる。
「まァいいや。どの道砂に行かなきゃねんだし・・・リーダー?長ェなァー?どしたー?出るわ出るわのジャンジャン横丁かァ?お客様がお待ちでございまァす。お早いお帰りお待ちしてまァす」
「止めてやれって、何かちっさい啜り泣きが聴こえっぞ?うん?何オメエ、砂に行くの?まさか護衛の依頼じゃねェよな?まさかだよな」
「君には関係ないね(キリッ」
「・・・何ソレ。イラッとすンな、うん?オイラだって暁のメンバーだぞ?」
「えッ!!!あッ!!!・・・・そういやそうだったな。おい、大丈夫かよ、暁?」