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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第10章 天然vs口巧者


「・・・そうですか。お疲れ様です」

「お疲れですか、牡蠣殻さん。いけませんね!ボクが木の葉までおぶって行きますよ!任せて下さい!」

「・・・・へえ?木の葉まで?」

リーの台詞に牡蠣殻は目を細めた。

バカ・・・・

テンテンが瞠目し、ネジは額に手をあてて俯く。

牡蠣殻は三人を順に見回して妙な顔をした。

「どういう経緯があるのか知りませんがね。さっきも言った通り、今ちょっと忙しいんですよ。珍しく。申し訳ありませんが木の葉に寄り道している暇はありません」

言いながら腰の鞄を探って小さな薬包と細長い水筒を取り出して、手早く薬を煽る。

「わざわざその為にご足労なさったのならお気の毒様です。残念ながら巡り合わせが悪・・・・・ああッ」

牡蠣殻が急に大声を出して首元を押さえた。
三班三人はビクッとして牡蠣殻を見やる。

「な・・・ないないない・・・!・・・・マズい・・・」

徳利首を引っ張って中を覗き込み、牡蠣殻は空を仰いだ。

「・・・ご隠居のところか・・?マズい。絶対マズい。・・・クソ、ヤバいぞ、こりゃ・・・・」

「あ・・・あの、牡蠣殻さん?」

「ああ、すいません。ますます忙しくなってしまいました。・・・・恐ろしい・・・」

懐を探り、鞄を引っ掻き回し、また首元を確かめ、ガックリと頭を垂れる。

「絶対あそこだ・・・寝込んでる間に外されたな・・・・」

「どうしたんですか?」

げんなりした顔を三人に向け、牡蠣殻は
うっすらと諦観の笑みを浮かべた。

「大切なモノを失くしました。この忙しいのに困りましたよ」

「大切なモノを失くした?それはいけません!見つけるまで探さないと!」

リーがキリッと言い放った。

「待て、リー、これ以上話をややこしくするな。お前は黙っていろ」

ネジに諌められて、リーは大きな目をますます大きく開いた。

「ややこしくなんかしてないです。失くしたら見つけないと。大切なモノなんですよ?」

「そのお前のシンプルさが話をややこしくするんだ。不思議だろう?不思議だな。何でそうなるのか自分でも考えてみろ。いいか?ガイ先生に出された宿題だと思って一生懸命考えるんだ。ガイ先生が大好きな一生懸命を駆使して脇目もふらず考え込め。ガイ先生もお喜びになるぞ、何せ一生懸命はガイ先生の大好物だからな」





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