第1章 砂の三兄弟
「汐田藻裾。ジャーキーの仲だ」
「・・・何ソレ?ジャーキーの仲って何なの?どういう位置付けか全然伝わって来ねえじゃん?」
「いつの間に・・・」
「ええ!?伝わった!?伝わっちゃった!?マジで!?ジャーキーだよ?干し肉じゃん?干からびた肉じゃん?さっきから大丈夫か、お前ら?一体何の話をしてんの?自分らでわかってる?」
「ジャーキーを与えて親しくなったんだろ?それくらいすぐわかるさ」
「嘘おォ!?ちょ、何その理解力?それくらいってどれくらい!?有り得ねえじゃん?何、そういう新しい血継限界か何か!?ショミミなんデスけど!?」
「落ち着け、カンクロウ。バ・・シ、バ・・・シカマルの手紙に書いてあったんだ。食い意地のはった筋金入りの肉食系だってな、その女。そこにジャーキーとくれば手懐けたとしか思えない」
「コナンくんがいるよー!蘭ねえちゃん早いとここのコ連れてってー!当たってっけどなテマリ、もォ正解が残念なの。明後日の方向に行っちゃってんの。そこ当てちゃ駄目じゃん。生牡蠣食ってノロに中る並みに駄目じゃん。リハビリが要るよ、このコナンくんはー!」
「コナンくんの悪口を言うな、カンクロウ。阿笠博士が許しても俺が許さないぞ。・・・フ・・・テマリ、お前今、二度もバンビ丸と言いそうになったな?さては気に入ったのだろう、バンビ丸を?」
「何を言う。バ、チッ、シカマルはシカマルだ!シ、くそッ、バンビ丸じゃない!」
「素直になれ、テマリ。・・・実は俺も気に入っている。バンビ丸。いい響きだ」
「・・・奈良が気の毒じゃん。もう止めてやれよ、お前ら・・・・」
「汐田がつけたアダ名だ。なかなかセンスがいい」
「・・・フン。気に入らないな。バンビ丸なんて。・・・可愛すぎる」
「気に入ってんじゃん」
「うるさい!さっきからジャンジャンやかましいぞ、カンクロウ!」
「ジャンジャン言うな!化け思い出すわ!」
「・・・磯が散開したのは知っているか?」
我愛羅の一言に二人はピタッと口を噤んだ。
「どういう事だ?磯と言えば叔母上の里だろう?」
「・・・化けの里でもあるな。おい、まさかアイツ野放しになってんのか?」
「テマリ、奈良の手紙には書いていなかったのか?」
「ない。焼肉屋でエライ目にあった話だけだ」
「どういう手紙のやり取りしてんだ、お前らは」