第1章 砂の三兄弟
「何でお前が私宛の手紙の内容を知っている!?盗み読みしたな!?」
「・・・・痛かったぞ・・・」
「そりゃ痛えだろうな・・・モロに決まってたじゃん?スタン・ハンセンも真っ青じゃん」
「我愛羅!!」
「・・・公文書に混じっていた。公文書なら目を通さねばなるまい・・・それも風影の仕事だからな」
「宛名と差出人を見れば公文書かどうかくらいわかるだろうがッ!貴様確信犯だな!?」
「公文書だと確信していた」
「嘘を言うな!見損なったぞ、我愛羅!風影ともあろう者が下卑た真似を!!」
「公文書と一緒にあれば公文書だ。第一俺が一日に目を通さねばならない書類の量は膨大だ。宛名などと細かい事を気にしていては日が暮れる」
「読んだらわかるだろうが、流石に!」
「・・・目を通した以上最後まで読まねばなるまい。雲黒斎の野望かあっぱれ戦国大合戦並みの大どんでん返しがあるやも知れん」
「・・・お前ちゃんと仕事してんの?クレヨンしんちゃん観てる暇なんかあんの、風影って?しかも映画じゃん。金曜七時半にしとけって」
「マサオくんから目が離せないのだ」
「しかも目当てはマサオくんんん!?どハマりじゃん?」
「バカな・・・!クレヨンしんちゃんと言えばひろしだろうが!ひろしなくしてクレしんは語れない!」
「ではテマリはマサオくん不在のクレヨンしんちゃんを想像出来るか?あの薄甘い玉子の入らないカップヌードルの様な、そんなクレヨンしんちゃんを観たいと思うのか?」
「お前こそエビの入らないカップヌードルの様な、ひろし抜きのクレヨンしんちゃんを観ようと思うか?どうなんだ?」
「・・・素麺でも食ってりゃいいじゃん。何の話をしちゃってんの?お前らは?」
「バンビ丸に話を戻そう」
「バ、バンビ丸じゃない、シカマルだ!!何なんだそのバンビ丸っていうのは?」
「藻裾・・・」
我愛羅が口にした名前に、テマリとカンクロウはそれぞれピクリと反応した。
「何だ、何でここで化けが出て来んだ?縁起でもねえじゃん!噂をすれば影なんて俺ァごめんだぞ!」
カンクロウがいち速く一歩退いて顔を歪めた。
「止めろ!あいつァ常識からかけ離れて降って来たりするヤツだぞ?こんだ床から涌いて出るかもしんねえじゃん!マジ勘弁じゃん!?」
「・・・カンクロウ、我愛羅、その女と知り合いか?」