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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第7章 苦い依頼


「怪我をさせるな。これはガイ先生からも言われたが、念を押された。特に流血は避けなければならない」

「流血があった場合は触れてはならないんですよね?先生が熱くおっしゃってましたからわかってますよ。何でわざわざ・・・」

首を傾げたリーをテンテンがまた遮る。

「それから?」

ネジは肩まで届く髪を靡かせて走りながら、チラとテンテンに難しい視線を投げた。

「消える事があるかも知れない。納得できる理由を示して同道しなければ、木の葉に連れ帰る事は出来ないだろうと言われた」

「・・・・ああ。磯の人だもんね。アタシも見たよ、あれ・・・」

テンテンは神妙な顔で頷いて、ネジを見返した。

「でも納得できる理由って・・・」

「何か考えないとな・・・」

「嘘を吐くって事ですか?」

二人の少し先を走っていたリーが、眉をひそめて振り返った。

ネジは苛立たしげに顔を歪め、リーをキッと見た。

「俺だってそんな真似はしたくない。だが俺たち自身知らない事を、どう正直に伝えるんだ?まして納得させなければならない相手に、理由は知らないが連れてこいと言われたから一緒に来いなどと言えるか?」

「・・・言える?リー」

「ボクは・・・でもボクは嘘は吐きたくありません。確かに何でその人を木の葉に連れ帰らなければならないのか解りませんが、火影様が悪いようになさるとは思えません。ボクはそう信じているから、この任務にも全力を尽くします」

「・・・・それをそのまま言おうって言うのか?」

呆れ顔をしたネジにリーはこっくり頷いた。

「気持ちを込めて正直に話せばわかって貰えますよ!」

「皆が皆リーみたいなら苦労はないんだけどね」

テンテンが苦笑する。ネジは二人から目を反らして正面を向いた。

「もう一つ。シカマルと仕事をしていた磯の女が現れる可能性がある。俺たちが連れ帰る女と親しいらしい。出来れば揉めるなと、面倒な事になるからと忠告された。リーはさっき見かけたと話していたが、テンテンは知っているか?汐田藻裾という女だ」

「小柄で可愛い人だよね?」

ネジは頷いて生真面目な表情を浮かべた。

「俺たちがこれから会う相手の事も聞いた」

「牡蠣殻という人ですね?」

「牡蠣殻磯辺。逃げ上手な磯の中でも巧者だとか。口が達者らしいから丸め込まれないように気を付けろ」

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