第7章 苦い依頼
「大丈夫ですよ!ネジ!」
「・・・・そうか?・・・そうか・・・この点でお前の心配をしなくてすめば、少しは気が楽になるな。・・・・本当に大丈夫か?」
里間近になって、足場に岩が混じるようになった。三人はやや砂礫の粒が大きくなった丘に点々とする岩を足場にして跳び進む。
「大丈夫ですよ!」
「あのさ、何か大丈夫そうな情報を挟んでみようか、リー。ネジが段々難しい顔になって来たよ?」
「安心して下さい、大丈夫!」
「・・・キラーンじゃなくて。そうじゃなくてね?どう大丈夫なのか言ってみ・・・・リーッ!前!!!」
テンテンが叫ぶのと同時に、丘の天辺にあった大きな岩の塊にリーが突っ込んだ。
「あわわわわ・・・・リ、リー!!!」
白目を向いたリーが空を舞い、岩はぐらりと傾いた。
「・・・・おお?白眼?」
吹っ飛んで行くリーを見送ってネジが呟くも、テンテンは青くなって突っ込むどころではない。
「いいいいい岩が砂の門壁にッ!!!」
転がっている。
建物ほどもあるデカい塊は半端ない自重に半端なく加速しながら、真っ直ぐ砂の里の門壁目掛けて爆転している。
ネジとテンテンは足を止めて顔を見合わせた。
「・・・これは・・・・ちょっと・・・・マズいな・・・・」
「・・・・・ちょっと?」
腹に響く音がして足元が震え、砂塵が二人のところまで吹き付けてきた。
「・・・・・リーだ。まずリーを回収しよう。そうしよう」
「・・・・・うん。急ごう。リーが心配」
「ん?ああ、心配だ。・・・心配?うん。そうだな。心配だ。早くここから離れよう」
「うん。早く逃・・・・リーを探さなきゃ」
丘の下から騒ぎが伝わって来た。
二人は再び顔を見合わせて頷き合うと、脱兎の如く逃げ・・・リーを探しに駆け出した。