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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第7章 苦い依頼


成る程矢張り利用したい訳だ。となれば、逆に解りやすい。後はそこに交渉の余地があるかどうか・・・・・。ーああ、だからですか。だからわざわざ・・・・。

ヒョイと顔を上げて見やると、カンクロウもこちらを見ていた。
牡蠣殻は目を細めて笑うと、先程と同じく僅かに頭を下げる動作に今度は気持ちを込めた。

貴方、いい人だ。ありがとう。

そんな牡蠣殻にカンクロウは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにフッと片口を上げて見せた。
牡蠣殻はちょっと目を見開いた。

勘がいい。

良い意味で人慣れしている。羨ましいな。

「・・・あれ?」

ブンと景色が回った。

まだ起き上がるには早かったですか・・・・そうですか・・・・

自分の具合すらわからない。全く情けない。

干柿鬼鮫の姿が不意に浮かんだ。

・・・会いたい。・・・・・当分、無理でしょうね・・・

倒れたところで寝台の上だと言うのに前に出たカンクロウが目に入る。

・・・・いい人ですねえ。・・・・・苦手ですよ・・・。

牡蠣殻は、また落ちた。
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