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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第7章 苦い依頼


「また随分ガツガツしてンですね?頼み事てな何です?」

「・・・・牡蠣殻という者に会ってみたい」

「・・・・そりゃまた。アタシの連れにそんなに興味があったんスか?トンと気付きゃしなかったな」

「木の葉に連れて来て欲しい。ー難しかろうな。しかし推して頼む」

「訳のわかんねぇ事に是非は出せねぇよ、五代目」

「そうだろうな。だが今はアタシを信じろとしか言えん」

綱手の苦々しげな様子に藻裾とシカマルはまた顔を見合わせた。

「お前一人では手に余るだろう。それ以前にお前はこれを断るか・・・」

「さっきも言いましたよ。訳のわかんねぇ事に是非は出せねぇ」

「木の葉の者を先乗りさせている」

「・・・・砂に?誰を・・・」

シカマルを手で制して綱手は藻裾をじっと見た。

「そいつらと手を組むか、反目するかは自分で決めろ。いずれ悪いようにはしない。アタシを信じろ。牡蠣殻をアタシのところへ連れて来い」

「・・・・」

藻裾は目をすがめてきびすを返した。

「五代目のその様子じゃ木の葉には居辛くなりそうだ。牡蠣殻さんもどうやら厄介な羽目になってるみてェだし、砂にゃ行きますよ。いずれそのつもりでしたしね。けどその先は約束出来ねぇ」

「・・・良かろう。悪かったな、藻裾」

「お世話ンなりました。じゃな、バンビ丸。砂に行ったら、彼女によろしく言っといてやっからな?ヒヒ」

「・・・ふざけてンじゃねえぞ。余計な真似すんな?てか、オメエ何でテマリの事・・・」

「テマリってのか。手紙の相手ァ。まあ任せとけ。木の葉から愛を込めちゃうからヨ?プ。あはははは」

笑い声を残して藻裾は失せる。

軽い風が執務室の中をフゥと一回りして消えた。

「・・・・五代目」

言いかけたシカマルに綱手は首を振った。

「得手でもないくせに・・・あれも矢張り磯の者だな。お前も退がれ。ご苦労だったな」

「・・・・今更牡蠣殻さんに何の用があるんです?」

「退がれ」

有無を言わさぬ顔で言い放ち、綱手は瞠目した。

「お前達を納得させるのがアタシの務めじゃない。同じ事を言わせるな。お前はお前の務めを果せ」

「・・・・なら俺は俺に出来る事をしますよ」

シカマルは低く言うと綱手を一瞥して執務室のドアノブに手をかけた。

「俺の務めってヤツをね」

ガンときつい音をたててドアが閉まった。
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