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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第5章 輸血


「名前を聞かせて欲しいじゃん?コイツ、何てんだ?」

チヨ婆とエビゾウが顔を見合わせた。

「何じゃ、興味ありげじゃな?気に入ったか?さっきは手なんぞ握っちゃったりなんかしとったし、お前、案外如何物食いじゃな、ぎゃははは」

「深入りせん方がいいのう。コレは・・・暁とも関わりがあるようだし、手に負えんよ?」

「違ェよ!そんなんじゃねえじゃん。全然そんなんじゃねえ」

顔の前でブンブン手を振って、カンクロウは苦笑いした。そんなカンクロウを伺うように見ながら、チヨ婆が答える。

「牡蠣殻磯辺。磯の幹部をやっとった女じゃ。言うてもわかるまいが指折りの逃げ巧者でな、今度の散開で里を抜けておる」

「・・・逃げ巧者って何だ?」

「それも後でまとめて説明するわ。何度も同じ話をしとったら口が疲れる」

「よく言うぜ・・・」

カンクロウはまた苦笑いして女を見やった。

「・・・ふぅん・・・牡蠣殻・・・」

確かに藻裾がそう読んでいたような気がする。カンクロウに倣って女ー牡蠣殻を眺めて、チヨ婆が続けた。

「まあ色々と問題のあるヤツじゃ。お前、ホントに大丈夫なんじゃろうな?手に負えないぞ、コイツは」

「ねえってば。それにコイツにゃ誰か居んじゃねえかと思うぜ。さっきはソイツと俺を間違えたんだよ。だからあんな事したんじゃん。何てェの、義を見てせざるは勇なきなりての?何かそんなんあるじゃん、なあ」

「なあっつってもなあ。よくわからんじゃん」

「何ソレ。バカにしてんじゃん?」

「しとらんじゃん?」

「モロしてんじゃん!言っとくけどな、"ん"とったら大して変わんねえんだよ、俺とばあ様達のしゃべり方は!」

「・・・・・!!!」

「な、何心底びっくりしてんじゃん?こっちがびっくりすんじゃん!な、こっち見ながらヒソヒソ話すんじゃねえじゃん!何かヘコむわ、止め止め!」

辺りの空気を払うように手を振って、カンクロウは口をひん曲げた。

「コイツが目を覚ますまで俺は我愛羅とテマリを躱さなきゃねんだろ?あー・・・頼むから早ェとこ何とかしてくれよ。あんま自信ねえじゃん・・・」

「察しがいいのは流石じゃが、どうも腰が引けていかんの、お前は」

エビゾウの言葉にカンクロウは片口を上げた。

「我愛羅とテマリといるにゃ、それくれェのが丁度いい。要はバランスじゃん?」
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