第5章 輸血
「フン、モノは言い様じゃなじゃん」
「・・・・まだ言うか・・・」
「ぎゃははは、まあ、警備を担うお前にはこの先ちっと世話をかけるかも知れん。こやつを覚えておいて悪い事はないじゃろう」
チヨ婆は人の悪い顔をカンクロウに向けて、含みのある言い方をした。
「世話?血ィ分けてやったじゃん。これ以上世話する義理はねえじゃん。俺は駄目だよ。腰引けてっからね?我愛羅に頼みゃいいじゃん」
「まあそう言うな。血を分けてやったんじゃ、もう他人とも思えんじゃろ?」
「全然?」
「何じゃ、ノリが悪いの。年寄りか、お前は」
「何で俺がそんな事言われなきゃない訳?よりによってばあ様達に?何かおかしくない?」
「まぁまぁ、兎に角、助かったぞ、カンクロウ。お陰で牡蠣殻も一息つけたわ。後で本人からも礼を言わせるでの」
「いや、いいから。そんなん要らないから。俺もう行くから。ちゃんと後で説明してくれよ?我愛羅もテマリもおさまんねえからな」
深水と、殊に杏可也を見ながら、カンクロウは念を押した。杏可也が気付いて微笑を向けて来る。
カンクロウは苦笑を返して肩をすくめた。
「・・・叔母さんの顔が見れたら我愛羅が喜ぶじゃん。早いとこ良くなりゃいいな、ソイツ」