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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第24章 追うか探すか


「・・・・・俺は、磯と近しくするに吝かではない。今まで閉じていた磯が外に向かって開けたのは歓迎出来る事だ。話し合おう」

それに、と、続けて我愛羅は一度言葉を切った。

「牡蠣殻の事もある。・・・俺は彼女を砂に迎えてもいいと思っていた。磯影においては牡蠣殻磯辺についてどう考えているのか」

「探しますよ。見つかるまで」

波平は片眉を上げ、人の目を惹き付ける顔で、しかし茫洋と言い切った。

「見付けて連れ帰ります。あれは磯の者で、更には私の望むただ一人の女。生涯わたしが護る。二度も放した手をとるのは難しいかもしれませんが、知ったこっちゃない。今度は諦めません」

「・・・・・・・」

藻裾は物言いたげに波平を見たが、思い直したように大きく笑った。迷いない様子で我愛羅にその笑顔を転じる。

「アタシも磯に戻ります。何考えてンだかわかんねえ姉貴分がめっかるまで、波平様が暴走しねえように見張ってやるモンがいねえとね。ホント言ったら、砂で我愛羅さんの側にいられたら良かったんだけどさ」

何か言いかけて口を開いた我愛羅を、藻裾の次の言葉が封じた。

「牡蠣殻さんが戻ったら、砂に来たいな。もし良かったら考えてみちゃ貰えませんか?アタシは我愛羅さんが好きだ。我愛羅さんの役に立ちたい。もしアタシで間に合う用が砂にあるなら、アタシは喜んで働くよ!」

フッと笑ったのはテマリだった。

「いいんじゃないか?我愛羅、私は反対しないぞ」

「俺は断固反対じゃん。マジでか?化けがここに?気が休まる暇もなくなんじゃん!死ねってか!?いやいやいやいや、ねえから。ねえよ、断固ねえ!!」

「何もお兄様。優しくしちゃうよ、大事にしちゃうよ?何せ我愛羅さんの愚兄だもんな、ジャンジャンは」

「・・・・ほら見ろよ。ぜってェ無理だ。ぜってェ嫌だ。テメエは今まで通り髷と連んでりゃいいじゃんよ?暁に行っちまえよ?」

「あん?何でアタシがダラダラと連まなきゃないんだよ?オメエはホントジャンジャンだなァ・・・・」

「だから何なのよ、そのジャンジャンの定義は?俺はどうホントにジャンジャンな訳?意味わかんねえじゃん」

「あーあ、全く、すげェジャンジャンだよ、オメエってジャンジャンは」

「ブッ。はははははは、何だ、面白いな、藻裾!変なヤツ!」

大笑いしたテマリに藻裾はにっこりした。
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