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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第23章 大ハード


「・・・・何が欲しい?」

駆け寄ろうとするカンクロウとネジを目で制して、我愛羅はカブトに尋ねる。

「書冊だよ」

言い渋るかと思いきや、カブトはあっさりと答えて肩透かしを食らわせてきた。

「それさえ貰えればすぐに退散するんだけどね?」

「書冊」

「深水は何も持っとりゃせんよ」

我愛羅の台詞を遮って、チヨバアが隠居部屋から顔を出した。

「お前が欲しがっとるのは牡蠣殻の資料だろ?深水は持っとりゃせん」

「チヨバア様・・・何の話だ?」

眉を上げた我愛羅に、チヨバアは顔をしかめた。

「世話焼きも大概にせんか。どこのおばちゃんだ、お前。この間に牡蠣殻が死ぬるぞ?」

「牡蠣殻が死ぬ?何の話だ?」

聞き咎めたカブトが話に割って入った。その背後にカンクロウとネジが息を詰める気配がある。チヨバアは素っ気なくカブトを見返して溜め息を吐いた。

「何もかんも、お前と遊んどる暇はないと言っとるんだ。我愛羅、牡蠣殻はどこだ?あン?」

「下だ」

「.ああ、わかった」

「・・・・下・・・」

「おっと、アンタが嘴突っ込むこっちゃねえじゃん?アンタの相手は俺がしてやらぁ」

思わず足を踏み出したカブトをカンクロウが前に出て牽制する。
カブトは苦笑いして首を振った。

「止してくれ。生憎僕はビジュアル系が大嫌いでね。特に化粧で不細工を誤魔化してるヤツを見ると腹立ちを通り越して抱き締めて慰めてやりたくなる程むしゃくしゃするんだよ。・・・抱き締めてやろうか?」

「・・・・おい。誰か模範解答をくれ」

「抱き締めて貰ったらどうだ?」

「・・・・養子に出すぞテメエ」

「黙れ。俺はテコでも日向から動かんぞ」

「知らねえよ。飛躍ネジになんだろ、アンタは」

「・・・・滅茶苦茶お前を見てるぞ?早いとこ抱き締めて貰え。鬱陶しい。ほら、とうとう両手を広げちゃったぞ?飛び込め、カブトムシの腕の中に」

「やかましいッ!何で俺ばっかこんな噛ませ犬みたようなメにあう訳?俺何か悪い事した?一生懸命生きてるだけじゃん?」

「それが神様的な誰かの気に障ってるんだろう。諦めろ」

「何それ?一生懸命生きてるだけで神罰が下っちゃってるって話?どんだけ可哀想なコよ、俺は?」



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