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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第23章 大ハード


「・・・・」

フと我愛羅が顔を上げた。廊下の奥にある階段へ目を向け、身じろぎする。
我愛羅の視線を追ったチヨバアも僅かに眉を寄せた。

「・・・・汐田・・・」

現れたのはデイダラと藻裾だった。

藻裾は顔を俯けてズルズル鼻をすすり、その後ろのデイダラは何とも言い難い顔で居心地悪そうな様子でムッツリしている。

「・・・何故泣く。牡蠣殻は?」

大股で歩みより、顔を覗き込んできた我愛羅に藻裾は黙って首を振った。我愛羅の袖をつかんで涙と鼻水をボタボタ落とし、唇を噛み締めて嗚咽をこらえている。

「どういう事だ?」

問いかける我愛羅を一瞥し、デイダラはカブトを見やった。

「失せろ間抜け野郎。牡蠣殻ならオメエんとこのクソ蛇連れてどっかに消えたぞ?」

「・・・・大蛇丸様と?」

カブトの口角が微かに上がった。

「・・・・どういう事だ?」

我愛羅が汐田の肩に手をかけながら重ねて問う。

「知らねえ。牡蠣殻がテメエを呑み込んだ大蛇丸ごと失せた。オイラにも訳がわかんねえよ。自分から大蛇丸に呑まれて、死ぬ気か?牡蠣殻ァ?何でだ?」

「・・・・浮輪は?」

聞いてきたチヨバアにデイダラは、物珍しげに目を瞬かせた。

「アンタ、旦那ンとこのしわくちゃか?ぷ。マジしわくちゃだな。うん。ははは」

「・・・・・・・はははじゃないわ。そのしわくちゃにぶっ飛ばされたいのか?浮輪はどうしたと聞いとる。暁のデカブツもじゃ。あやつらは何をしとんじゃ?」

「さあな。部屋ン行ったときゃ斬り合ってたけど、今は二人ともすっかり大人しくなっちまって一言も口をききゃしねえから置いてきた。まあ、こうなっちまっちゃしょうがねえや。オイラァもう用がねぇから帰るぞ。うん。・・・・そいつ、頼むな」

藻裾に顎をしゃくって行きかけたデイダラは、フと足を止めて我愛羅を見た。

「・・・・・アンタの叔母さん・・・杏可也な。アイツ、何で・・・・・」

言いかけて止める。
髷を振って頭をしゃんと上げると、デイダラはぐるりを見回してちょっと神妙な顔をした。

「深水は気の毒だったな?うるせぇヤツだったけど、オイラきらいじゃなかった。弔いンときゃオイラからもよろしく言ってたって、フカに伝えてくれよ、うん」

そこまで言うと、サバサバした様子で歩き出した。
通りすがりにカブトへ告げる。
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