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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第23章 大ハード


「フフじゃねえぞ、テメ・・・・」

いきりたつデイダラの耳先を唸りを上げた鮫肌がヴンと行き過ぎた。

「おわッ、バカッ、鬼鮫ッ、どこ見てやがる!?オイラの耳ィ持ってく気かッ!!!!」

「邪魔ですよ。退がりなさい」

引き戻した鮫肌で波平の刃を受け、鬼鮫はデイダラを見返りもせずに淡々と言う。

波平が押していた刀をスッと思いきり良く引いて、素早く横へ回った。不意に圧を抜かれた鬼鮫は、押し返していた力を持て余して僅かに足元を狂わせる。その隙をついて波平は鮫肌をいなすように弾き、返す刀を下から上へいっきに跳ね上げた。鬼鮫が顔をのけ反らせて顎に打ち込まれた太刀筋を辛くも避けた
ところに、今度は真横から凪ぎ払うような速い一閃。

「・・・ふ・・・ッ」

鮫肌を立ててそれを受け、波平を蹴り付けた鬼鮫の足が空を切る。
低く長く後ろに飛んだ波平は、着いた足で即床を蹴って前へ飛び出し、体勢を崩した鬼鮫の肩口へ長刀の切っ先を突き込んだ。

「・・・ちょこまかと手数の多いこと・・・」

避けた鬼鮫の外套の肩が裂け千切れるのを面白そうに眺めて、大蛇丸がクッと喉を鳴らした。
デイダラも興味深そうに二人を見やる。

「速ェな。いや、鬼鮫だって遅かねえが、ちょっと桁が違うな、うん」

堪り兼ねた藻裾が、斬り合う二人の向こうを透かし見ようと目をすがめた。

「一体何やってやがんです、この二人?牡蠣殻さんはどうし・・・」

「寝台で大人しく横になってるわよ・・・何やってんだか知らないけど、ホントバカね、この二人」

大蛇丸はスッと息を吸い込んで笑み含みながら印を組んだ。

「貰ってくわよ、あの忌血」

「・・・ぃいッ!?」

大蛇に変化した大蛇丸に、藻裾がギョッとして勢いよく身を退く。

「ぅあ、バカッ!!」

咄嗟に構えてこちらも印を組みかけていたデイダラにドンとぶつかり、二人は縺れ合って床に倒れ込んだ。
それを尻目に大蛇は身をくねらせて滑り出した。
大口を開いて牙を剥き、鬼鮫と波平目掛けて走る。

鬼鮫が波平を蹴り退けて大蛇丸の正面で鮫肌を構えた。

凄いような顔で笑って蛇の目を見据える。

「くそッ」

鬼鮫が呑まれると見た藻裾がダッと飛び出した。身を擦るような前傾姿勢で牡蠣殻の寝台に向かう。

鬼鮫は両の手で鮫肌を握り、大きく横様に振りかぶった。
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