• テキストサイズ

連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第23章 大ハード


デイダラは地下の廊下で苦り切っていた。

勢いよく飛び出して来たはいいが、何のつもりか変な顔をしてしゃがみこんでいる藻裾に行き当たってしまったのだ。

「・・・・何やってんだ、イモ?」

「・・・・・・・イモじゃねえよ」

答える藻裾の声が鼻声で、デイダラは歯を噛み合わせて一歩下がった。

「・・・・うん?・・・・・おい・・・・まさか泣いてんじゃねえだろうな。止めろよ。ちょ、ホント止めろよ?うん?泣くんならどっか行けよ?オイラ知らねえぞ?」

「うるせえ。オメエがどっか行けよ」

「オイラは用があるから来たんだ。・・・に、してもヤに静かだな。うん?テメエまさかカブトの野郎を食っちまったりしてねえだろうな?」

「何でアタシがカブトムシなんか食わなきゃないんだよ。いきなり何言ってんだ。しょーもねえ・・・・・」

「・・・・誰が虫の話をしたかよ?」

「オメエだろがよ」

ズッと鼻をすすって藻裾は抱え込んだ膝に顔を埋めた。

「・・・・・・クソじじいが死んじゃったよ」

「クソじじい?」

「深水先生だよ・・・・死んじゃった。何でだ?すげェ長生きするモンだと思ってたのにな。
言うじゃん?憎まれっ子世にはばかるとかってさ」

デイダラの目が大きく開いた。

「フカが死んだ?ホントか?待てよ。どういうこった?うん?じゃ、杏可也はどうしたんだ?フカのおっさんと一緒だったろ?」

「今は一緒じゃない。海士仁と行っちゃったよ」

「海士仁・・・?イタチと鬼鮫が探してたビンゴブッカーだろ?何でそんな事になったんだ?何だ?一個も話がわかんねえぞ。しっかりしろ、チビ」

「か、牡蠣殻さんも、し、しし死ぬかも知れない。顔から、見たこともないくらい、ち、血ィ出してた。アレ止まんの?なあ、止まんのか?」

鼻水を垂らして唇をぎっちり噛み締める藻裾に、デイダラが噴き出した。

「ア、アンタのその面・・・ブハッ、・・・プ・・・・。鼻拭えよ、きったねえな!プッ」

「・・・・・ぶっ殺すぞ、クソチビッ」

ズーッと盛大に鼻をすすり上げて、藻裾がギッとデイダラを睨み付けた。
デイダラはそんな視線などどこ吹く風で、バンと藻裾の背中を叩いて腕を組む。

「鼻垂らしてたってフカは帰って来ねえぞ?牡蠣殻の血だってテメエの鼻水じゃ止まんねえ。みっともねえぞ、しっかりしろ?うん?」


/ 194ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp