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連れ立って歩く 其のニ 砂編 ー干柿鬼鮫ー

第23章 大ハード


「磯辺が聞いたら苦笑いしそうな事ばかり言う・・・」

波平の言葉に鬼鮫はフと笑った。

「そうですね。きっと苦笑いするでしょう。けれどこの人はそうしながら敢えて私に殺されますよ」

「もう止めてくれ!」

波平が半眼を開いて腰の刀を抜いた。

目をすがめた鬼鮫は、彼を見やって笑う。

「ほう。一足先に逝きますか?」

ゆっくり立ち上がって鮫肌の柄に手をかけ牡蠣殻を見下ろしながら、鬼鮫は笑みを大きく広げた。

「とは言え、例えあちらで出会おうと、この人が私のものであることに変わりはありません。残念ですねえ」

「妄言はもう沢山ですよ、干柿さん」

波平の目が色を変える。鬼鮫はククッと可笑しそうに喉を鳴らした。

「また姉弟で似たような事を・・・・」

「・・・・全く口の減らぬ人だ・・・・」

「おや、口が減らぬやり取りはお好きでしょう?でなければこの人には付き合いきれませんよ?」

「・・・・それをあなたに、言われたくはない」

甲高い鍔迫りの音が静かだった部屋の空気を裂いた。



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