第23章 大ハード
「・・・・ふゥん・・・久し振りねえ。相変わらず砂だらけな事・・・・面白くもないわ」
青白い顔に片口の切れ上がった笑みを貼り付けて、砂の里を見下ろす者がある。
国境の間際、山肌が剥き出しになった崖の上で、カブトは目を伏せた。
「・・・増援は計画のうちとはいえ、まさか自ら出張られるとは・・・」
「いいのよ。サスケくんは例によってご機嫌斜め、アンタもあの海蛇と出歩いてばかりで退屈してたとこだしね」
大蛇丸は腕組みして舌舐めずるように笑い直した。
「鬼鮫が出てるって事はイタチくんに会えるかも知れないじゃない?」
「・・・・・・大蛇丸様、今日はそういう催しはありません」
「冗談よ。アタシもちょっと興味が出て来たのよ。やる気のない迷惑な特異体質の持ち主とやらに」
「本当ですか?また何で急に・・・」
「物知らずでどっちつかずな容れ物は、どんな色にも染められるでしょう?」
事も無げに言って大蛇丸は鼻を鳴らした。
「野放しなんて、勿体ないじゃない」
二人の背後には、十数の人影。
里に下って合流すれば更に数が増える。
「まぁお遊び程度ではあるけれどね。いわゆる面倒事を起こす訳なんだから、それなりに楽しませて貰いたいものね、カブト」
「・・・ご期待に添えるよう頑張りますよ」
里を見下ろしてカブトは笑う。
「・・・・・・ところであの海蛇はどこよ?一緒だったでしょ?」
「・・・アイツなら遊びに行きましたよ」
「・・・はあ?」
「また水遊びでもしてるんじゃないですか。気が向いたら戻って来ますよ。向かなかったら来やしないでしょうけど」
「はン?」
腕組みをといてカブトを見やり、大蛇丸は肩をすくめた。
「ま、どっちだっていんだけど。あれと連むのはあまり気が進まなかったしね。今回はアンタが兎に角乗り気だから任せてるけど・・・・・・あの海蛇、バックが面倒なのよ」
「・・・・・」
黙り込んだカブトを尻目に大蛇丸は皮肉げに口の端を上げた。
「アンタには言ってなかったけど、アイツ、草と繋がってるのよ」
「ああ、そんなとこでしょうね。アイツみたいなヤツは磯を出たら草くらいしか行き場がない」
カブトは事も無げに言って、再び砂を見下ろした。
「戻ったら一発殴ってやりますよ」
「あら。・・・・ふぅん」