第22章 わからないのが任務というもの
「兎に角任務だからね。行くしかないよ」
「それはわかっている。ただ解せないと言っているんだ」
「任務なんて大概そんなモンでしょ。納得出来る任務の方が珍しいくらいなモンで」
「お前は暗部にいたからな。尚更そうだろう」
「まあね・・・」
暗部と聞いてダンゾウの顔が過った。
やれやれ・・・
卓に湯呑みを置き、カカシは椅子の背に肘をかけた。
面倒な事ばっかりだ。恨むよ、波平さん。
磯の散開が思わぬ形で波及し始めている。あの閉じたまま移動し続けてきた里は、影を象徴するかのように存外食えないところがあるらしい。
暁と絡んで音と根に追われる忌み血の元補佐。口も態度も悪いのに綱手に気に入られ、面倒臭がりのシカマルを動かし、砂の影を慕って風の国へ行く側近。薬師と取り引きし、これもまた風に去った忌み血の弟子を持つ医師。
そして、得体の知れぬビンゴブッカー。
綱手は気付いているのだろうか。
誰かがダンゾウの欲の背を押したかも知れない事を。まんまと謀略にかかりかけている事を。
ダンゾウの謀がより明確な形をとる前に綱手は彼を牽制しなければならない。内部紛争を避ける為にも事態の収集は早めに行われるべきだ。
そう、例えば何処の何者でもない忌み血の持ち主を消してでも。
争いはその種を消すのが一番手っ取り早い。誰も得をしない。それが収まりを着ける。
カカシはいよいよげんなりして溜め息を吐いた。
「自分なりに解釈して遂行するしかない任務ってのもあるよね?」
カカシの問いにガイは思いの外考え深げな顔をした。
「わからないのが任務だという以上、そういう判断が必要なときもある・・・何の話だ?」
「やんなっちゃうねって話」
カカシはヒョイと肩をすくめて立ち上がった。
「さて、ボチボチ五代目のとこへ行ってみようか?俺も三班が心配だよ。お前、ホントは今すぐ砂に行きたいくらい彼らの事心配してるでしょ?」
「バカを言うな!俺はアイツらを信じている!アイツらは俺の自慢の教え子だぞ!出来る連中だ!はははははははは!」
「涙涙」
「涙じゃない!青春の汗だ!」
「またそういう歳にそぐわない図々しい事を・・・ホラ、鼻水鼻水」
「鼻水じゃない!青春の我慢汁だ!」
「・・・・・駄目でしょ、そういう事言っちゃ・・・」
「うむ!口が滑った!」