第22章 わからないのが任務というもの
朝からガイと差し向かいで朝食をとる羽目になったカカシは、先刻からずっと気のない仕草で目の前の献立を突いていた。
「何だ、カカシ。箸が進んでいないが具合でも悪いのか。体調管理は忍の嗜み、そんな事では教え子に笑われるぞ!」
三杯目のご飯をわしわし平らげながら、マイト・ガイが檄を飛ばす。カカシはげんなりした顔で湯呑みを手に取り、お茶を啜った。
「・・・おたくは朝から元気だねえ・・・いい歳こいてどんぶり飯御代わりってのはどうよ。あんま食べ過ぎると体に毒だよ?もう若くないんだからね」
「食うものを食っておかなければ力も出ないぞ!俺の足を引っ張るなよ!」
「・・・いや、うるさいから。ご飯は静かに食べようね?」
「しかしよくわからんな」
瞬く間に空にしたどんぶりをタシーンと卓に置き、ガイが顔をしかめる。
「結局三班は何の為に砂まで出張らされたのだ?」
「・・・ガイはどう思ってる訳?今回の三班の任務」
「リー達を行かせるには気の進まない任務・・・難しい上汚れ仕事の類いではないかと思った。五代目の事だ、間違いはあるまいが、何故我々ではなく若い者に白羽の矢が立つ?わからん」
それは綱手自身に迷いがあったからだ。
まさかそう告げる訳にもいかず、カカシは曖昧な顔をした。
「砂の庇護にある者を拐うんだからね。言ったら物騒な任務だよ。下手して砂と揉める事になったら目も当てられない。丸く収まればいいけど?」
「今更俺たちが出張って事が収まるとも思われん。五代目は砂との同盟関係に確執をつくるつもりなのか」
ガイが苦々しい顔でカカシを見た。カカシは肩をすくめる。
「それ、俺に聞いてわかると思う?」
「違うのか」
即答したガイにカカシは目をすがめた。これでいてこの男は有能だ。決して侮れる相手ではない。
「・・・ガイ、俺は五代目じゃないからね?五代目の考えてる事なんかわからないよ」
強いて呆れた様子を見せてカカシは苦笑した。
「兎に角三班が心配じゃない?砂と接触していたら剣呑だ。彼らだけで何とか出来るかどうかって言ったら、難しいでしょ?三班は優秀だけど如何せん経験が浅い」
「だから何故なんだ?そこまで考えない五代目ではないだろう?わからん」
「・・・・・・」
カカシは温くなったお茶を呑んで、ガイから目を反らした。