第18章 朝から難儀な・・・
「オメエが帰れ。ツナの里によ」
「ツナの里なんかねんだっつの!いつまで言ってんだ、バカ!」
「・・・ツナの里?旨そうだな・・・あれは醤油と胡瓜と和えると米にも麦にも合う」
「麦ってパンの事か?・・・何かオメエの弟変わってんな、うん?」
「ん?いや・・・・まあな・・。てか言うなよ、いいから。もうわかってっから。天然なんだよ、うちの風影は」
カンクロウは半分笑いかけのしかめ面で皆を見回す。
「兎に角、先ず飯だ飯!化けに噛みつかれたくなきゃ早ェとこ飯にした方がいんじゃん。我愛羅も行くぞ。飯まだだろ?一緒にすませっぞ。はい、出た出た!ほらほら!」
砂も木の葉も暁も磯も急き立てて、カンクロウはパンパン手を打った。
「ゴタゴタに早いとこ片つけるぞ。スッキリしたろうじゃん!」
「・・・・おい、荒浜。目を開けろよ」
一方砂の宿の左方では、カブトが呆れ顔で寝台に胡座をかく海士仁に物申していた。
海士仁は目を閉じたまま煙管を燻らせて欠伸した。
「寝台で煙草は止せ。そういうの生理的に厭なんだよ、ボクは」
「ああ?」
「・・・何で起き抜けから切れてんだよ。メンドくさいヤツだな」
「知らん」
「今日は動くからな。深水と接触する。しっかりしてくれよ?君の巧者の腕の見せどころだ」
「昨夜会った」
「あ?」
「磯辺も居た」
「ああ!?」
「鮫と水遊びした」
「干柿!?ヤツも来てるのか?」
肩口を押さえてカブトは眼尻を上げた。
「荒浜、お前、スタンドプレーも大概にしろよ!?一体何をやってるんだ!計画が台無しだ!」
「結果が出れば計画は要らん。過程が楽しければそれでいい」
「結果出てないよね!?君手ぶらで水遊びだけして帰って来たよね!?」
「うん」
「うんじゃないだろ、このバカ!あーッ、わかった!大蛇丸様の気持ちが良くわかった!バカは嫌いだ!ボクも嫌いだ!」
「フ」
「ブッ殺す!」
「ハ」
ここで初めて海士仁は目を開いた。
「杏可也が孕んでいた」
「それが何だよ?」
「俺の子だ」
「はぁ!?」
「深水は仕留める」
「・・・どういう事だ?お前、深水の連れ合いを嫌ってんじゃなかったのか?」
「杏可也は俺の女だ」
「・・・待てよ。君一体、どういうつもりで・・・」
「磯辺は俺のモノだ」
「・・・・」