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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第12章 xxx 11.幽閉



「ほら、もっとちゃんと舐めて」

 抑揚のない彼の声がねだる。
 深くまで咥えさせられた指を右へ、左へ、舌の上で動かされて卑猥な音が鳴った。

 抵抗なんてできない。する気もない。むしろ、もっと酷くされてもいい。赤葦さんになら、全部、奪われてもいい。

「いいね……その目、興奮する」

 彼はワントーン低く告げた途端、私の口内を犯していた指を引き抜いて、強引なキスをした。

 パインの味。さっきよりも数倍濃い。
 芳醇な香りを放つその糖分にあてられて、息が噎せかえる。苦しい。甘い。きもちいい。

「んっ、ふ……ぁ、はあ」

「美味しい?」

「ん、はい、……甘、っ」

 息があがる。目元が熱くなる。赤葦さんの手に首の後ろを押さえられて、逃げられない。

 酸素の供給を絶たれた脳が痺れる。
 思考が乏しくなって、ただひとつ、目の前の快楽だけに堕ちていく。

「赤、葦さっ……ん」

「……なに?」

「もっと、……奪って」

 奪って。何もかも。
 貴方のものにして。

 キスの隙間からねだった。

 一瞬面食らったように目を丸くしてから、考えこむような彼の顔。いつもは冷淡なその瞳に、ほんの僅かだけど、人間らしい欲が映りこむ。

 歯車が狂いだした瞬間だった。


「悪い子だね、……カオリは」

「………?」

「俺に本気で欲しがらせるなんて」


 覚悟しな。絶対逃がさない。
 赤葦さんはそう言って、自らシャツをはだけさせていく。

 露わになる彼の素肌。
 程よく筋肉のついた腹部には古傷。左腕には包帯。そして背中には、純白の、──鷲。

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