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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第12章 xxx 11.幽閉



 睨めっこをしていた。
 変顔対決ではなくて、スマホに表示されたデジタルクロックとだ。

 こんなにソワソワするのは何年振りだろう。それこそ、遠足やクリスマスを待つ子供のように、胸を高鳴らせて彼を待つ。

 予約の時間を10分過ぎた頃だろうか。
 ドアの向こうから赤葦さんと光太郎の談笑する声が聞こえてきて、一気に鼓動が駆け足になった。

『京治くん!マジで!マジで本番だけは駄目だかんね!?』

『そんなもんしなくても満足させられますから、俺は』

『なっ……ぐ、ぐうの音も出ない!』

 うるさい。おもに光太郎が。
 そんなことはさておき、どうしよう、急に緊張してきた。どんな顔をして迎えよう。第一声は何を言えばいいんだろう。

 気分はまるで恋する乙女だ。

 キィ、と控えめな音を立てて蝶番が鳴く。半分ほど開かれたドアから覗く、細めのスーツに身を包む赤葦さんの横顔。

 今度は壁を隔てずに、彼の、甘さを含んだ声が聞こえた。

「あ、光太郎くんさ、デリバリー頼んでよ。フルーツと酒類適当にいくつか。お願いしますね」

「えー……うち飲食の許可とってな」

「お願いしますね」

「…………はひ」

 赤葦さんの圧力恐るべしである。光太郎噛んでるし。永久凍土よりも冷たい彼の視線は、今夜も絶好調に健在だった。

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