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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第12章 xxx 11.幽閉



「赤葦京治さん……か」

 あれから数日が経ったある夜。
 予約表に貼られたショッキングピンクの付箋には、彼の名前。

 光太郎の荒っぽい字で書かれたそれを見つめて、つい緩みそうになってしまう頬を引き締める。

『次はラストまでお前のこと買うわ』

 ただの口約束。社交辞令。
 そうだとばかり思ってた。まさか、本当にオーラスで予約を入れてくれるなんて。

「なんて紳士的なの……すてき」

 胸の前で五指を組んでうっとりしていると、頭の天辺をポコッと何かに叩かれる。

 何か、というか、光太郎が愛読してる風俗雑誌(薄くて無料配布してるやつ)だけど。

「ちょっと、何すんのよ」

「嫉妬による愛の鞭、的な」

「……意味分かんないから」

 この季節にしては暖かい今日。
 雨の匂いがする風が連れてくるのは、夢か、幻か。

 忍びよる蜜夜。悦楽の気配。
 私の人生にとって、運命の日と言っても過言ではない一夜が始まろうとしている。もう、この町から逃げ出すことはできないだろう。

「暴力反対です光太郎くん」

「キスしてあげるから許して」

「いや全力でお断りします」

 自分の身に起ころうとしていることを、この時の私はまだ、知らない。

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