第1章 制服姿の君
私の部屋にいる御幸くんの姿はどう見ても高校生だ。
当時は大人びた雰囲気を漂わせている印象だったが、高校を卒業して随分経った今としては横顔に幼さすら感じる。
いや待てよ、名前を名乗ったとはいえもしかして御幸くんの弟だったりするのでは?だとしても家にいる意味が分かんないけど。
「あの〜〜・・・私の事誰か分かります・・・?部屋とか間違えてません・・・?」
「憶えてるよ。」
間髪入れず彼は答えた。
「水谷直子さんでしょ。同じく青道高校出身でそっちは確か…美術部だっけ?同じクラスにもなった事あったし。」
おお〜〜〜・・・絶対知らないと思ってた。そこそこ地味な高校生だったと思うけど意外と知ってたんだ私の事。実際は三年間同じクラスだったんだけど・・・
でも嬉しい。顔が赤くなってるのが自分でも分かる。
「・・・知ってたんだ」
「そりゃそーだろ。じゃなきゃ来ねえよ」
「いや・・・喋った事なかったし・・・」
話しかけられる訳ないじゃん。あの頃の君に。