第1章 制服姿の君
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窓の外の街灯だけが光る真っ暗な部屋の中、見下ろした目線の先にはあれから数年経って大人になった水谷が眠っている。
(……びっくりしただろうな、いきなり部屋の中に顔見知り程度の男が現れて)
しかも当時と変わらぬ姿で。
深い眠りに落ちている水谷の横顔は、あどけなさを残しつつ人生経験をそれなりに積んだであろう顔つきになっている。
今日に至るまでどんな事があったのか、悲しい事もたくさんあっただろう、今彼女の口からそれを聞いたとしても全ては過去の話なのだ。
ベッドの下で眠る水谷の側に腰掛けて少しだけ彼女の髪の毛を梳く。
彼女の耳のピアスが夜の光を反射する。誰かからプレゼントされたものだったりするのかな。
「おやすみ、水谷さん」
俺はひとり言のように彼女の耳元で小さく呟いた。