第6章 キモチ
桜花は自分の部屋に戻ると、携帯を取り出し、電話をかける。
RRRRR...
『ッもしもし!!!!』
桜「わ!で、出るの早すぎだよ!ワンコールしか鳴ってないよ?総悟」
電話の相手は総悟だった。桜花は今日の総悟の様子が気になって電話したのだ。
総『あ…すいやせん…ゴホッ……ゴホッ』
桜「大丈夫?熱はあるの?…あの…」
総『謝る必要はないですぜィ…俺が好きでやったことなんで…』
桜「総悟はすぐ無理しちゃうから…心配で。あの後、あのまま傘もささずに帰っちゃったの?」
総『まぁ…おかげで自転車、桜花のとこのマンションに…忘れてきちまいやしたがね…』
桜「そっか。明日学校これそう?これそうなら、また明日一緒に登校しよ?」
総『……!!』
総悟は、自分が完全に桜花に嫌われたと思っていたため桜花の言葉に驚いた。
桜「……無理そう?」
総『…だ…大丈夫でさァ。一晩寝りゃ治ると思うんで…』
桜「ほんと!?よかった!じゃあ明日マンション前で!お大事にね!おやすみ!」
総『…お…おやすみなせぇ…』
プツ……プー…プー…プー…
あ、あれ?
いつもどおりだ。
総悟は、真っ赤な顔でバクバクなる胸を押さえ、思考をフル回転した。
な、なんで?
まさか、グルグル悩んでたの俺だけ!?
理性ごと爆発してしまった桜花への気持ち。
でも桜花には届いていない。
気づいていない。
ラッキーなような、どこか虚しいような…
複雑な気持ちになった。
鈍感なんだか、純粋なんだか……
総「はぁ……ほんと、桜花にはかないやせんねィ」
ふっ…と少しだけ笑う。
桜花に告白する時にゃ、相当なパワーが必要そうでィ。
覚悟して作戦練らにゃ気づいてもらえそうになさそうでさぁ。