第5章 いちご牛乳の香り 【微エロ】
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キィ…バタン
玄関の方から音が聞こえる。誰か来たようだが起き上がれない。
銀「桜花ー?いるか?」
銀時だった。外は大雨でベランダから行き来出来ずに珍しく玄関から来たのだろう。
部屋着で床で寝ている桜花を見つけると、銀時は頭を掻きながら困ったようにため息をつく。
銀「なーんでベットが横にあんのにそこで寝てんだよ桜花、俺飯食いに来たのによぉ」
桜花は深い眠りについていた。銀時は桜花が寝ている隣に座り、ベットに寄りかかる。携帯を握りしめながら眠る桜花の頭を優しく撫でた。その表情は暖かで優しい目をしていた。
部屋から持ってきたいちご牛乳を飲みながら、マンションの玄関前にいた総悟のことを思い出す。銀時には総悟が泣いているように見えた。
『あいつ、桜花にでも告ったのか…?で…桜花に振られて泣いていた…とか?』
気持ちを伝えれば今までと同じような距離で接するのは不可能だ。長年一緒にいるだけ銀時達は適度な距離が保てないでいた。近づきすぎたのだ。家族同然な存在に。
桜花が離れていくのが怖くて、自分たちも自然と桜花を妹扱いする。それに応えて、兄同然で甘えてくる桜花。本当の気持ちに気付かれなくて当然だろう。
銀時は少しだけ総悟が羨ましかった。近すぎない距離、簡単に触れ合う関係ではないことが。
くしゅんっ
桜花のくしゃみだ。
銀「桜花!おーい起きろ!風邪引いちまうぞー!」