第4章 キョリ 【微エロ】
総悟は、桜花のマンションの自転車置き場にそれを置いて、入り口へと向かう。
早く早くと手招きする桜花を見ながら、ボソッと呟く。
『ったく。人の気も知らねぇで…』
総悟は唇を少しとんがらせて怒ったような表情をする。顔はやっぱり赤い。
エレベータが上から降りてくる。1階に着くと、チン!と鳴り扉が開く二人は中に入ると扉が閉まった。桜花がカードキーみたいなものをエレベーターの一部に翳す。すると自動的に7階に動き出した。
総「何やらハイテクですねィ。防犯がしっかりしてる。マンションの玄関もそのカードキーがなけりゃ開かないようだし」
桜「お、お父さんが心配してね?ここじゃなきゃダメだって言うから…」
少しどもった桜花を不思議そうに見ているとエレベーターの扉が開いた。
桜「ここの角曲がるとすぐだから」
部屋の玄関まで歩く。総悟は鼓動が早くなり、隣にいる桜花に聞こえるくらいドクドクした。今にも破裂しそうなほど。
桜花は扉の前でカードキーを翳す。カチャリと玄関の鍵が開いた。
桜「どうぞ…」
総「お、お邪魔…しやす…」
予想通り綺麗に整頓された玄関、フラワー系の甘い香り…桜花がカチャリと扉を閉める。玄関の電気をつけると総悟に向かって口を開いた。
桜「それじゃぁ総悟、脱いで?」
総「えええぇぇ!??」
キョトンとした桜花。あまりの総悟の驚きっぷりにびっくりしたのだ。
桜「ここでワイシャツ脱がなきゃ部屋が濡れちゃうから。私、タオルと大きめのTシャツ持ってくるね!」
なんだ…とため息をつきながら挙動不審になった自分が恥ずかしくなった。ワイシャツのボタンを外す。半裸になると玄関のドアを少し開けてワイシャツを絞り出した。
「へっくしゅんッ」
ちょっと寒い。鼻水出てきた。ワイシャツを絞りながらくしゃみをする総悟だった。