第1章 初登校
「銀ちゃん、晋くん、私着替えしたいからケンカなら自分たちの部屋でやってくれる?入学式、遅刻できないし!」
取っ組み合いのケンカをしている二人を、呆れ顔で見つめながら呟いた。
銀「そうだな。お前今日から高校生だったな。じゃあ一時間後、マンションの下で待ってから、寝癖直して忘れ物ねーように準備しとけよ」
晋「それお前だろうが。桜花、ハンカチちり紙忘れんなよ。しかし三人で登校も一年ぶりか。またな。」
桜「はいはい、わかったよ!」
二人は当たり前のようにベランダから自分の部屋に帰っていく。
桜「ってかみんな一人暮らしなんだから別に玄関から自分の部屋に帰ればいいじゃん!?」
銀「アホか。お隣さんでありながら、昔からの付き合いである俺たちの特権だろーが!ベランダからの出入りは青春なの!」
晋「まぁ、普通に玄関から出入りするよりかは特別感あるよな」
桜「銀ちゃんはともかく晋くんまで…そうかな?青春?危ないよ?」
銀晋「いーーーーの!!!」
桜「はいはい、気をつけて。また後でね!」
カラララ……ピシャ。
さて着替えよう。真新しいセーラー服。新品のスクールバック。私も今日から銀ちゃんたちと同じ銀魂高校の生徒だ。一つ上の幼馴染達は、小さい頃から学校もずっと一緒だった。銀時たちは、中学を卒業すると地元から離れたここ、銀魂高校に入学した。一人取り残された桜花は、兄達がいない寂しさから追いかけるように同じ高校を受験したのだ。結果は見事合格。地元から通うのは不可能に近かった。娘に一人暮らしをさせるのが不安な両親だったが、銀時達のいるマンションであればOKということで一人暮らしの許可がおりた。それは桜花にとっても、兄弟同然な幼馴染と一緒に居れる嬉しい条件だった。
ドレッサーで身だしなみを整える。色素の薄い亜麻色のロングヘアをクシでとかしながらニコニコした自分が写る。1年ぶりの3人での登校。嬉しくて仕方ない。
「わ!やばいやばい!もうこんな時間!銀ちゃん達に怒られちゃう!」
急いでクリームブラウンのカーディガンをはおり、身だしなみチェック。
「スカートよし!セーラーよし!ハンカチちり紙よし!寝癖よし!歯磨きよし!…部屋は帰ってきてから片そう…」
とてつもなく散らかった部屋を横目にマンションの下へ急いだ。