第3章 大切な君
キーンーコーンーカーンーコーン……
銀「なぁ〜んだよ。ビビらせやがって。こんなやりとりしてる間に昼休みになっちまったじゃねーか」
桜花の言葉を聞き、復活した銀時は頭を掻きながら立ち上がった。晋助に向かって、購買行くかぁと話す銀時。薄ら笑いを浮かべながら、晋助と銀時は総悟に向かって話す。
「俺たちの桜花に手ェ出したら承知しねェ」
総悟も負けじと睨み返す。
「いくら先輩でも容赦しやせんぜィ?」
銀時と晋助は購買に向かいながら話し出した。
銀「俺ら以外の男に桜花があんな風に笑うなんざ、想像つかなかったのになぁ?」
晋「俺らだけがあの笑顔を守ってきたのに、思わぬ馬の骨が現れたもんだな…」
銀「所詮は男と女だ。幼馴染や親友って肩書きが、いつの間にか邪魔になってくんのさ。その肩書きの向こう側に行けずに俺たちのようにもがき苦しむ…あのガキにゃそういう覚悟ができてんのかねぇ?」
銀時は、好物のペロキャンをポケットから出し封を開けると、それを咥えながら気だるそうに話した。
晋「肩書きがあろうがなかろうが」
銀「あいつを大切に思ってることには変わりねェ」
廊下の向こう側に消えていく二人の背中を見つめながら、総悟はふと教室に目をやる。あの後すぐ教室に戻った桜花。神楽たちと楽しそうに話す桜花を見つめながら総悟は呟く。
「先に出会ったかどうかなんて関係ねェ…。俺だって桜花を大切に想う気持ちは誰にだって負けねェんだ」
総悟は唇を噛み締めると、強く拳を握りしめた。その表情は誰にも見えなかった。