第3章 大切な君
そんな二人を横目に、晋助は冷静さを取り戻し、教室に戻ろうとする桜花を呼び止めた。
晋「桜花、どこ行くんだ?話はまだ終わっちゃいねェだろ?お前にとってこいつがどう特別なのかまだ聞いちゃいねェ…俺らが納得するように最後まで話すこったな…」
教室の扉に手をかけた桜花は、こちらを向こうとしない。だが少しだけ見える頬はやっぱり赤かった。桜花は恥ずかしそうに話しだす。
桜「総悟はね……私の…初めての……」
総「お、桜花…!お、俺も…お前のこと……!」
全員が息を飲む。
桜「…は…初めての親友なの…‼︎‼︎‼︎‼︎」
「「「………………………………………え?」」」
先ほどまで崩れ落ちていた銀時は桜花を見上げる。
晋『ったく、ヒヤヒヤさせやがって…』
ふぅ、とため息をつくと腕組みしながら壁に寄りかかり、コツンと頭を当て、天井を見上げた。
一方総悟はというと、銀時の横で放心状態で膝から崩れ落ちた。散々勝手に盛り上がっただけに、ガラスのハートには重い負担だった。神楽が総悟の頭を人差し指でグリグリしながら話した。
神「ホントお前はドSのくせにガラスのハートアルな!期待しすぎネ!」
神楽の声が耳に入ってこない。桜花が俺の前にしゃがみ込み話続けた。
桜「総悟。さっきの自己紹介の時の親友って言葉、信じてもいいんだよね?私、男の子と話すの少し苦手だったけど、総悟に出会ってからすごく感謝してるよ。総悟がみんなの前で私の事『親友』って言ってくれたのがすごく、すごく嬉しかったんだ。総悟が転校してきてから、少しだけど土方君達とも話せるようになったし…」
顔を少し赤くして、嬉しそうに俺に向かって話す桜花。期待しすぎて落ち込みはしたものの、その笑顔を向けられるなら、当分親友でもいいと思った。俺は案外単純なのかもしれねェ。