第2章 1
議員と言えど所詮は公務員。ましてや貴族出身者のみがなれる上院と我々平民から選出された下院議員では給与含め様々な点で違いがある。
これでもマシになった方だ。
昔は、言う程昔でもないが数年前までは完全王政で議員は貴族のみであった。今の国王が即位した時、『貴族の議員のみでは方針に偏りが出る。これからは国民の意見も聞けるよう、国民からも議員を選出する』という方針に切り替えた。
幸い、その時はまだ完全王政なので反対など出来なかった。
当時の議員(10割が貴族)の中には反対者もいただろう。大した業務もせず金を頂いてるのも知っている。
現在は下院議員7割、上院議員3割という比率。数字で見てわかる様に下院議員が大多数を占める。
なら、国民にかなり有利な案を出し放題かと言えばそうでもない。
下院にも税率の見直し要請や公布の提案をする権利はある。しかし、それが暴走するのを防ぐ為、この国では下院の提案を採用するかを上院と国王で決めるという仕組みが出来ている。
そう、蟠りはこの部分で生まれる。
結局最後は上院が否決すればその案は通らない事になる。これのせいで会議場が闘技場みたいになる事なんてざらにある。
不思議に思った者もいるかもしれないが、何故平民出で下院の私が王党派なのかと。
理由は明白だ。完全民政にしてこの国のトップになった者が完全独裁主義に走るのを恐れている為だ。
現在の王家は先ずそういった傾向はない。
民主寄りの意見としては国民が国を支え、作るのだからトップも。というもの。無論この国民には貴族も含まれているのであわよくば自分がトップに、という野心的な者もいるので上院にも民主派はそこそこいる。
こう言うのを見ると、国王は本当に苦労するなと熟、感じる。