第2章 1
何処かの国では国主が好き勝手やって気に入らなかったら処刑しまくってたらしいが、革命派が決起して最後は国主がしていた処刑法で処刑されたって話を聞いた事がある。
……こういう国主もいるんだからウチはしっかりしてる王族で良かった。
過去にはクーデター的な事もあったようだが、どうなったかは現在が物語っている。
実際問題、現在の国王の支持率はかなりのものだ。
民主主義とまでは行かなくてもそれ相応に国民の意見も取り入れ、税に関してもしっかり国民の生活に反映させている。
汚職や横領などした議員は上院だろうと罰せられる。
そういう所もあり、上手くやっているのだろう。
以前に視察で来た他国の議員は皮肉なのか『明るい独裁国家』と言っていた。間違ってはいない…。
ここ最近で一番の議題はやはり奴隷に関してだ。
とにかく奴隷、という言葉があまり印象的に良くない。
王は躊躇いもあったようだが戦争による復興に止むなしといった具合だ。
前回の戦争では消耗戦になり、王立軍だけでは賄えず、国民からの義勇軍、最後には徴兵となっていた。
故に今この国は働き手が不足している。
それを補う為、敗戦国の国民、エルフを使用している。
奴隷といっても人権は存在する。
主人含め他者も奴隷への虐待、暴行は処罰される。
奴隷を玩具のように扱う者も居ると聞いた事がある。
だが一度主人の屋敷内に入ると立ち入り調査は難しいものがある。先の溺死した議員も奴隷を購入していたいようだが、あまりいい評判は聞かない。それでも処罰できなかったのは…大体察しがつく。
「私も奴隷を購入しようか…」
やましい気持ちではない。正直家事が凄いきっついのだ。幸いそれなりに蓄えはある。
じゃあ普通に嫁さんを探せよというがそんな簡単に出会えたら苦労せんわ。
今度行ってみるか。
議員になり、私はこの国を更に良くしたいと思っている。しかし、全員がそうという訳ではない。野心的な者、他国の息が掛かった者。そんな者たちが当たり前の様に議会にいる。こんな連中に任せては駄目だ……。
国民を代表して出ている私達がそんなでは示しがつかない……。何とかしなければ…。
取り敢えず、今日の夕食は簡単で作り置きができるものにしよう。
本当に奴隷を買おうかな……。