第5章 もう一つの愛を育む
ふふっ。
楽しみだな。
駅までの短い間だけど、一緒にいられるのはすごく嬉しい。
柊に連絡しとこ。
そして、テスト期間。
「結希ー!帰ろー。」
クラスまで、柊が迎えに来てくれた。
「柊!ちょっと待ってね。‥‥おまたせ。行こっか。」
駅まで、2人並んで歩く。
「あっちー。結希、暑くないの?」
「暑いよ?」
「いや‥‥汗一つかかずに言われてもなぁ‥‥。」
暑さに弱い柊は、苦笑いしながら額の汗をぬぐった。
反対方向の電車に乗る私たち。
なんというか、まだ一緒にいたくて1本電車を見送った。
「じゃあな。」
ひらひらと手を振る柊を見送った。
次の電車はしばらく来ない。
駅に人は少なくて、私はベンチに座って空を仰いだ。