第5章 もう一つの愛を育む
月曜日からの練習は、すごく物足りなかった。
そりゃ当たり前のことなんだろうけどさ。
シュート率の名簿、作り直さなきゃな。
部室の鍵を借りるためのカードの“キャプテン”の欄が、
蒼先輩の名前じゃなくなっていて、新チームになったことを実感させられた。
その日の帰り。
「結希ー。私ねー。蒼先輩と付き合うことになった。」
心晴の報告。
今日はやけにテンションが高いと思ったら、そういうことか。
「おめでと!」
「でさ‥‥そろそろテスト期間じゃん?その間‥‥。」
「いいよ。蒼先輩と帰りな。」
「結希、いいの?」
「ん。私も柊と帰るよ。」
「へ?柊くんと?」
「うん。私の彼氏。」
心晴は、目を丸くして固まっていた。
その様子が可笑しくて。
「え、ちょ、いつから!?え、早く言ってよー!」
「いやー、だって心晴、蒼先輩のことで頭いっぱいだったでしょー?」
「いや‥‥そうだけど!」