第5章 もう一つの愛を育む
「え‥‥?ほんとだ。居ない。」
「探してこよっかな‥‥。」
「んー‥‥。私も行く。」
ぐるっと体育館の周りをまわってみる。
予想通りというかなんというか、心晴と、蒼先輩は一緒にいた。
「くる「柊。ちょっとそっとしとこ?」
「え?」
ここはおじゃましちゃダメだろう。
「ちょっとだけ、このままでいさせてあげよ。」
蒼先輩のためにも、心晴のためにも。
「あー‥‥うん。わかった。」
私たち2人は、そこをあとにした。
5分後。
「そろそろ、みんな集まってきてるよ。」
「仕方ないね。呼びに行こっか。」
もう一度、体育館裏にまわる。
「あー蒼こんな所にいたのかよ!」
「来宮先輩、泣いてたんっすか?」
他の何人かの先輩と、柊達1年生に囲まれる蒼先輩。
私は、心晴の肩にぽんと手を置いた。
「‥‥結希。」
「‥‥寂しくなるね。」
「‥‥うん。」
振り返った心晴の目は、いかにも今まで泣いてましたって感じで真っ赤だった。