第2章 母さん、ありがとう
あれから俺は父さん達の時間も、と思って家を出た。
というのはただの言い訳で、ただ整理がしたくて、かっこ悪くて、彼処にいると自分が更に弱くなる気がして…。
ただ、逃げたかっただけなのだ。全てにおいて
その時、目の前には目を隠した赤髪の少年。
「君は…」
そう言ったとき、一瞬にして武器を構えられた。
「待って待って!」
必死に止める。今まで体力作りしかしてなかった俺が忍にかなうはずがない。
松寿丸に続いて好きなキャラに出会えるとは…ッ
でも、このままだと死ぬよな…?!
何か言うこと…えーっと、えっと…
「お前、風魔か…?」
その瞬間押し倒され、喉元に苦無をあてられた。
やっちまったぁああああっ!!!
咄嗟に爆弾発言しちゃったよ!そりゃそうなるよ!!
はぁぁあっ…
「あのっ、…俺を、殺しに、来たのか…?」
恐る恐る言った言葉に首を振ったが、苦無は首から離れない。
そう言えば初めて殺気というものをあてられた気がする。ちくちくして、冷や汗が止まらない。
どうしよう!?
「綺麗な髪だね」
ちっげぇえよ!!!今言いたいのはこれじゃなくて!
…あれ?一瞬苦無をあてる力が緩んだ気がした…。
「その髪、触ってみたいな…」
いっそのこと!と思って本音をぶつけてみる。
「…おかしな奴だ…」
「!」
風魔が喋った!?小さかったが確かに聞こえた!
嬉しくなってつい、表情が緩んだ。
あ、そう言えば自己紹介していないじゃないか!
「俺は小弥太っていうんだ、よろしく!」
俺がいつの間にか最初のような緊張感のかけらもない、危機感を感じさせない挨拶をすると風魔は溜息をつき、苦無を退けた。
「小弥太くん!」
その時、遠くからまた焦った妙さんの声が聞こえた。
風魔が立ち去ろうとする瞬間に「また、会いたい」と言ったがすぐに立ち去ってしまった。
でも、どこか頭を撫でられた気がしてぽーっと立ち尽くしていると妙さんが俺の肩を掴んでいた。
「八重の病態が悪化したんだ!」
そしてすぐに手を引かれて家に向かった。
母さん…