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転成トリップとかマジ俺得

第2章 母さん、ありがとう



「松寿丸ー!」

「なんだ?小弥太」

あれから2年が経ち、5歳になりましたー!
おめでとう!

「これ、母さんが2人でって」
にこっと笑い、掌の上の金平糖を見せる。
「そうか…、ありがとう」

そう言い、一粒摘まんで食べようとする松寿丸の手をとって自分の口にいれる。
「なにをする…!?」
「毒味」
にっと笑うとはぁっと溜息をついた。
「それは心配などしておらん」
「今は乱世なんだから心配しないと駄目だ!」
「小弥太が言うでないわ」
べしっと叩かれる。

痛いなぁと頭を摩りながら松寿丸を見ると弱い奴よ。と言いながら心配そうに頭を撫でてくれた。
「ありがとな」
「べ、別に心配などしておらんっ//」
「はいはいw」
典型的なツンデレに頬が緩む。
「笑うでない!」
また叩こうとするが今度は止める。
そう何度もひっかからないさ!

「小弥太くん!!」
母さんの姉の妙(たえ)さんが走ってきた。
「どうしたんですか?」
妙さんはうちの家の近くに住んで居て、たまに顔を覗かせる。
「八重が!八重が大変なのよ!!」
「母さんが!?」
急がないと…!でも、松寿丸…ッ
「我は良いから、早く行け」
「わかった、ありがとう!またな!」

挨拶するとすぐに全速力で駆け出した。
以前より速くなった足だが、まだまだ子供のせいで中々スピードがでない。

それでも急いで急いで、やっと辿りついて家に入ると布団の中に横たわる母さんの姿。
そばにいる父さんは母さんの手を握りながら俺の存在に気づきこちらを向いた。
「小弥太…」
すぐに駆け寄り、顔を覗き込んだ。
「母さん!…父さん、母さんは…「不治の病だそうだ…。」…ッ」

とてもそんなふうには見えなかったのに…
どうして?…ここは戦国時代、覚悟はしていた。
なのに、どうして…

知らぬ間に流した涙は、母さんによって拭われた。

「…母さん?」
「小弥太、ごめんなさい…。迷惑を、かけましたね…」

いえ、というだけなのに泣き過ぎて言葉を発することができなかった。ただ、ぶんぶんと首を振るだけ

「貴方は、自慢の息子です…。幸せになりなさい」

ふわりと辛そうに微笑む母さんに涙が止まらなかった。
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