第1章 こんにちは、新しき世界
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ようやく思考も落ち着いた頃、一人の男が物凄い勢いで走ってきた。
「八重(やえ)!」
「弥一(やいち)さん、そんなに慌てなくても私は大丈夫ですよ。それより、店の方は大丈夫なのですか?」
「ああ!ちゃんと任せてきている!…これが俺達の赤子か…」
そういって髷の男、弥一(恐らく父だろう)が俺の顔を覗いてくる。
壊れものを扱うようにそっと頬に触れてくるからくすぐったくてその指をぎゅっと掴んでやった。
「おお!掴んだぞ!なんと愛らしい!!」
一々すごい反応をするんだな…。
見たところ、俺が初めての子のようだ。
仲良さそうに話す2人を見て少し羨ましく思った。
告白されたこともないし、したことも付き合ったこともないからなぁ…
あー、自分で言って悲しくなってきた…。
……ん、なんだか眠くなってきた…かも…
思い瞼をゆっくりおろし、眠りにつく
規則的に身体を叩く手に更に眠りが深いものへと変わっていく。
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皆様、おはようございます。
いきなりですが、俺は3歳になりました。
赤ちゃんの頃はこっちも大変だった。女のアレを見たのは転成前の俺の母以来だった。しかもそれから乳を飲むのがすごく恥ずかしくて拒んでたが開き直ったよ、うん。
寝て排泄して飲んで寝るだけの生活なんて見たくないだろうからカットで。
弥一…もとい父さんは俺を小弥太と名付けた。
ちゃんと言えてなかったにもかかわらず初めて父さんと読んだ時は泣いて喜んでたぞ。
この家は父さんのお兄さんが作った武器や防具を売って生活をやりくりしている。
そして、もう一つ分かったことがあるんだ…。