第1章 DDD発売記念
セントラルステーションには、サンセット住宅街行き発車のベルが響いていた、
焦って何も考えられなくなったわたしは、住宅街で降りて待つという選択しか思い浮かばず、それが一番良い方法だと、その電車に乗り込んでしまった。
数分して住宅街に着くと、目の前には夕焼け空の色を映して輝く海が広がっていて、思わず見惚れていると、
後ろから聞き慣れた声がわたしの名前を呼んだ。
お前が何を考えているのか、俺には全然わからない、むちゃくちゃな事をして、俺がどれだけ心配したことか…。
列車に乗り込む姿が見えたから、追いかけてきたのだそう。
謝らなくては、と、言葉を紡ごうとしたが、混乱してしまってうまくまとまらなくて、ごめんね、と一言絞り出した。
「俺の方こそ……すまない…」
あの時、俺が手を離したから……また、ひとりになるかと思って、怖くなったんだ。大げさな話だよな。
リクは少し恥ずかしそうにしていたけれど、それが夕日のせいなのかはよくわからなかった、
夕暮れのオレンジ色と夜の薄紫が混じった世界の、人気のない静かな住宅街は、眠りに落ちている様なまどろみに包まれていて、寝息が聞こえた様な気がした、
なんだかまるで、
「夢を見ているみたい」
それは、きっと、
夕暮れが見せた白日夢。
*ドリームドロップ
ディスタンス*
(なんだか、
夢を見ているみたいだ)
(?どうして?)
(こんなにも穏やかで
隣にお前がいるなんてな)
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初出…2012.03.27.